こんにちは、齋藤ゆ(koemu)です。

前回の記事では、執筆時点におけるTENTOの教育のゴールをどこに定めているかをお話しました。しかし、事例がないことにはとお考えの保護者様もいらっしゃるかと思います。

せっかくですので、2011年開校のTENTO 1期生ともいえる、ともきとれいじの2人について取り上げてみます。TENTOの中で成長する彼らについて、6年間を通じた一つの事例として知って頂けたら幸いです。

ともき・れいじ

(左から 齋藤・れいじ・ともき)

私と彼らとの出会い

私と彼らとの出会いは、2012年3月に催された、みんなのデジタル教科書教育研究会(デジ教研)主催の情報教育カンファレンス、『「デザイン型人材」育成のための情報教育とプログラミング教育』というイベントでのことでした(当時の模様: 「TENTO – BLOG : 小6TENTOメイトのプレゼン@筑波大学東京キャンパス」)。

その頃は、まだ彼らは小学6年生。それが今や高校3年生です。早いものです。TENTOでは高校生は申し込みを受け付けていないのですが、彼らは学年が上がる際に持ち上がりでそのまま居着いている(?)状況です。2人の他にも、持ち上がりで通い続けている高校生が何名かいます。

2012年のイベントのあとも、TENTO主催のイベントや、私が講師をする中でいろいろと付き合いがありました。とはいっても、私だけが彼らと深く関わったというわけではなく、主に代表の竹林からプログラミングを習い、その後は様々な講師や、講師たちが声をかけてきてもらった現場のエンジニアからプログラミングについてのアドバイスを受けて、プログラミングスキルを高めていました。

彼らは今どうなっているのか

彼らは基本、週1回、土曜日にTENTOに来ては、私やクラスメイトとだべって帰っていきます。えっ、それだけなの?と言われそうなので補足しますと、プログラミングで困ったことがあれば一緒に解決にあたり、そして高校3年生でもありますので進路についてざっくばらんに話をする場になっています。

では、どこでプログラミングをしているのか?それは、彼ら自身で見つけているのです。

例えば、ハッカソンというプログラミング技術を用いて開発を行う合宿イベントに積極的に顔を出して時には優勝してきたり(例: 「KAUMO HACKATHON Vol.2」)、同じ高校生同士で集まって情報交換をしたり(tento.tech)と、TENTO…そう、講師たちが作った場所であったテントの外に出て、一緒になって自主的に活動して楽しんでいるようです。

また、イベントなどでTENTOの講師の数が足りないときは、他の講師に混じって小中学生にコンピュータに触れる楽しさを伝えています。私が見ていまして、大人の講師よりも上手なのでは?と思うことは決して少なくありません。知識があるのははさることながら、無理に教えず、しかし楽しくコンピュータに触るために必要な操作や知識を示すように伝えることができるのです。TENTOのミッション・バリューを体現しているのは実は彼らかもしれませんね。

こうなった経緯について

先程もお話しましたが、初期の頃は竹林がプログラミングの基礎をしっかりと指導しておりましたが、その後は特に講師から「これをやりなさい」といったことはありません。自分自身で、プログラミングの楽しさに気づき、プレゼン大会や一般開催されているハッカソンなどを通じて、彼ら自身のプログラミングスキルを高めています。

ではプログラミングをしたい!という動機はどこから来たのでしょうか。それは、彼らに関わってきた講師たちが、本務で培ってきた現場感覚を通じて、プログラミングの魅力や楽しさを話し、そして一緒にコードを書いてきたからだと考えています。

彼らほどのプログラミングスキルを持つ子たちには、もはや「教える」ことは必要ありません。それどころか、新しい技術を教わったり、現在のネットメディアのムーブメントを聞いたりすることはざらです。そうです、彼らのほうが先端なのです。一方で、講師たちには積み重ねた経験と知識があります。だからこそ、互いに学び合うことで、共に成長する場としてTENTOはあり続けられています。

彼らの将来について

高校3年生といえば、進路選択の只中にいます。私も思い出すだけで胸が痛くなる経験でした。

そういうときは、どうしても易きに流れてしまいがちです。私は彼らの保護者ではないのですが、これまで5年以上見届けた中で放っておく訳にはいきません。実は私は当初高卒で働きに出まして、その後に大学院に飛び級して修士修了の学歴になっていますが、こういう道は茨の道でして決して万人にすすめる訳にはいきません。今、「自分たちに必要なことは何か」を話題を広く彼らに話すのが私の業務(そして私の講師担当は現在彼らのコマだけです)の一つになっています。自分の本務の活動の姿も見せつつ、です。もちろん、プログラミングの楽しさも話しつつ。

彼らはプログラミングで取り急ぎ生活していくことができるスキルがあります。しかし、将来を見据えたときに本当にこれで良いか、10年後に振り返ったときに良い選択であったと考えられる決断ができるよう、私をはじめTENTOの講師たちが関わっていくことができればと考えています。

それでは皆様、ごきげんよう。

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